Findy Freelance ラボ

フリーランスになってからの4年間がエンジニア・社会人として最も成長できた FLエンジニア会議ウェビナーレポート後編

作成者: Hasegawa Ryo|2021/02/18 1:00:00

2021年2月18日(木)、Findy Freelanceが主催するエンジニア向けイベント「フリーランスエンジニア会議〜キャリアの選択肢としてのフリーランス編」がオンライン上にて開催されました。

エンジニアのキャリアを歩む方の目指すべきポジションとして、テックリードやVPofE、CTOなど様々ですが、フリーランスエンジニアとして独立されている方が多いのも周知の事実です。 しかし、実際フリーランスとして独立をするには営業活動やお金周りの手続き、法人化をするべきか等、様々なハードルがあります。

今回はフリーランスエンジニアとしてご活躍いただいている3名のハイスキルなエンジニアにご登壇頂き、独立するにあたって準備をしていたこと、実際に独立をしてみて感じたギャップ、メリットなどを語っていただきました。その内容を、前編と後編の二部構成でお届けします。

後編では、営業活動や法人化した理由などについてお話をお伺いし、会場からの質問に答えていきます。

 

 

登壇者プロフィール

山根 翔
VALLIS, LLC. 代表社員


フリーランス歴9年目。文字を聴くテキストプレイヤー https://nine.app や、ツリー状に書くドキュメントサービス https://tree.md (Product Huntデイリー2位)を運営。委託ではNOWROOM (https://nowroom.jp) のiOS/Androidアプリ開発担当。1人法人フリーランスのデザイナー兼エンジニア。

 

 

広野 雅織
六角電算株式会社 代表取締役


エンジニア歴10年。フリーランスになってから4年くらいです。フロントからインフラまで、アプリもwebもゲームも全部やります。 最近は技術コンサルとして若い子集めて自己啓発セミナーをやったり、経営層とのコミュニケーションに入ったりするお仕事が多いです。 リモートワークが板につきすぎて、現在沖縄在住のAirbnbライダー。いろんなところに住みたい。

 

 

吉岡 秀馬
合同会社キガニックス


ソフトウェアエンジニア歴約5年(内フリーランス歴約4年) フリーランスのソフトウェアエンジニア。 Androidプラットフォームを専門領域としスタートアップ企業を中心にアプリやSDK開発を受託する傍ら、ソフトウェア開発以外では高等学校での選択授業やクリエイター支援を行う。

 

 

モデレーター

 

田頭 一真
ファインディ株式会社 ユーザーサクセス


ファインディ株式会社 ユーザーサクセスエバンジェリスト。株式会社ドリコムでIP系ゲームアプリの開発ディレクターを経験後、2018年6月にジョイン。 Findy Freelanceの事業立ち上げ〜グロースを経て、現在FindyFreelance部門のTLを担当。

 

 

営業活動やお金や申請周りのこと

 

山根 


吉岡
 


広野

――続いてのトピックは、営業活動やお金周りについてです。今回、正社員の参加者の方も多いので気になっているトピックではないでしょうか? 営業活動にも関係しますが、吉岡さんから複数案件を並行して実施するというお話もありました。実は参加者の方から「どれくらいの期間で一つの案件を終えて次に移っていくか」とのご質問をいただいています。この点も踏まえまして、吉岡さんいかがでしょうか?

 

吉岡 
自分の場合にはAndroidの領域をメインでやらせていただいていますが、どこの会社さんも採用が難しい領域のようです。そういう領域なので、割と外からメールで直接お声がけいただく機会も多くあります。そのため営業活動という文脈でいうと、お声がけいただくためにもGitHubなどで活動をオープンにしていくことをやっています。「GitHub拝見しました」などと言われるように頑張っているところはありますね。また一つの案件の長さについてですが、Androidの領域は先程言ったような状況ですので1年とか2年などの長期の案件が入ることが多いですね。

 

ーーやはり吉岡さんのGitHubを見ていると、OSSにもしっかり取り組まれていて、スター数も多いですよね。

吉岡 
最近、あまり触れていないのですが……。

 

ーーあ、そうですか(笑) 結構、そこら辺のバランスが大変ですよね。


吉岡 
そうですね。まとめると、しっかりと仕事を得ることを意識して広報活動をする。結果として、案件を得るというスタイルです。

 

ーーありがとうございます。続いて山根さんにお伺いします。営業活動やお金、申請周りのことはフリーランスになるタイミングで不安に感じることが多いと思いますが、いかがでしょうか。


山根: 

10年前などは「家で仕事をしているとニートだ」みたいな時代だったので、営業活動としては、人が集まるところに頑張って顔を出していました。今はそれなりに実績や自社開発的なサービスを持っていて、それが顔のようになっています。そのため最近は営業活動に困ることはあまりなく、むしろ断っているくらいです。

 

ーーそれ、言ってみたいです(笑)


山根: 

お金周りや申請のことについては、昔は自分でやっていました。法人化してからは税理士さんに全部お願いしています。なので、今は領収書整理程度ですね。

 

ーーありがとうございます。山根さん一緒にやりたいといった熱いコメントもいただいています。続いて広野さん、営業活動とか、お金周りのことはいかがでしょうか?


広野

僕は、Findyさんを始め、エージェントをフル活用しています。先程の山根さんの話とは違って僕が始めた4年くらい前は、ちょうどエージェントの方々が精力的に活動を始めた時期でした。そのため、僕は完全にゆとり世代です(笑)

ただ、工夫としては、1個のエージェントに絞らず、探すときはだいたい15個ぐらいのエージェントに登録します。それで端からバーっと要望を投げて、ひたすら面談をして、いい案件を探すようにしています。

 

ーー私が言うと怒られるかもしれないんですけど、エージェントさんごとに強みがあるので、比較していただいた上で最終的にFindy freelanceを使っていただけたら嬉しいなと思っています。

広野
回し者ではないんですけど、これまで一番僕に合う仕事を持ってきてくれたのはFindyさんなので、絶対Findyには登録した方がいいと思います。

 

ーーめちゃくちゃ言わせてしまったような感じで(笑)、ありがとうございます。


広野

本当です、本当です。

 

 

フリーランスに向いてる人、向いてない人


ーーそれでは時間の関係で、次のトピックに移ります。こういう人がフリーランスに向いているなといったことを伺っていければと思います。広野さんからお願いします。


広野

まずは僕がそうなんですが、飽きっぽい人が向いています。先程もお話しましたが、フリーランスの一番の利点は色々なことをできるところだと思っています。また、色々なことを薄く広くできる人が求められていることを営業活動をしていても感じます。

飽きっぽい人は自然と幅広いスキルが身についていきますので、間違いなく向いていると思います。ただ、その戦略をとった場合に、結果としてアイデンティティが一つに定まらなくなってしまうことがフリーランスの悩みとして挙げられるようです。僕は自分が何者なのかを一言で伝えられなくても全く不安にならないタイプなので、同じような方は是非やってみたらいいと思います。

 

ーー確かに正社員からフリーランスになって、帰属意識がなくなって説明しづらくなるといった話はよく聞きます。ここで広野さんに質問がきています。案件が並行すると管理が大変だと思いますが、案件の引き受け方はどうされていますか?


広野

結局、お話をいただいたら面談に行くことですね。15個くらいエージェントに登録しているのですが、できるだけわがままを言います。単価ややりたくないこと、フルリモートが可能かどうかなどを伝えておくと結局いただくお話は3、4つくらいになります。そういうこともあって、登録数は多いですが、管理が大変ということはありません。

 

ーーありがとうございます。確かに、広野さんの案件を探すのは僕も結構大変だったりします(笑)続いて吉岡さんお願いします。


吉岡 
実は広野さんのお話とは真逆になるのですが、僕は「何が得意だ」とアピールできる人がフリーランスに向いていると思っています。これはおそらく、動き方の違いなんですよね。自分の場合にはAndroidの部分にこだわって、その知識が関わるのであれば何でもできるようにしています。

そのおかげで、新規のAndroidアプリを開発する際にチームに必要な知識を提供して欲しいという要望に、技術顧問の立場で関わることも多いです。これで過去に2件ほど仕事をしました。そのため、得意なことをアピールできる方にはフリーランスが向いているし、オススメします。

 

ーー専門知識を活かす上で上手く先方とコミュニケーションをとるコツはありますか?


吉岡 

基本的にこちらからコンサルする必要があります。技術的な部分は当然しっかりできる必要があります。その上で、課題や先方のやりたいことを把握して、それらを解決する選択肢を提案していくことを心がけています。そして、どれが合うのかを一緒に相談してコミュニケーションをしていっています。

 

ーーありがとうございます。先程の広野さんのお話にもありましたけど、期待値を合わせていくことや、課題を特定して相談しながら進めていくことが重要ですね。それでは、続いて山根さんお願いします。


山根: 

フリーランスはサボろうと思えばいくらでもサボれてしまいます。そのため、自己管理ができる人が向いていると思っています。楽したい人やサボりたい人はフリーランスはやめておいたほうがいいと思います。

 

ーー山根さんは今までモチベーションが下がったことはありますか?


山根: 

自営業の時に確定申告が面倒くさ過ぎて、毎年諦めそうになりました。今は税理士さんに全部お願いしています。

 

ーーやっぱり最終的にはアウトソースしていくことが最適解なのでしょうか。


山根: 

そうですね。何度も言いますが、サボりたいという人よりも精力的に仕事をやりたいとかモノ作りしたいとかそういう気持ちが高い人は向いていると思います。

 

 

法人化した理由は?今後どんなことをしていきたいか?


ーーそれでは、最後のトピックです。法人化された理由や今後やっていきたいことなど未来の話も伺えたらと思います。山根さんからお願いします。


山根: 

周囲の人たちから、売上の面でそろそろ法人化したほうがいいと言われ始めて迷っていました。そんなとき、寝転がってスマホをいじっていたら、法人設立サービスを発見しました。どんなサービスなんだろうと入力フォームを触っていたら、いつの間にかもう少しで法人設立できるというところまできていて、いい機会だなと思ってポチっとボタンを押した感じです(笑)

 

ーーそうなんですか(笑)。じゃあ、UI・UX調査の延長戦で結果的に登録したみたいな(笑)


山根: 

なんかもう、ハンコまで届き始めて、これはもう仕方ないな、みたいな。

 

ーーそうだったんですね(笑)ところで、今後もサービスをどんどん作っていくと思うのですが、山根さんのモチベーションの根源を教えてください。


山根: 

デザインとテクノロジーで世の中を便利にしたいという想いが根幹にあります。それができたらいいかなと思っています。

 

ーーちょうどいいタイミングですので伺わせてください。デザインとテクノロジーには反目し合う部分もありますよね。その部分をどのようにお考えですか?


山根: 

デザインとテクノロジーの間に分断があるということですよね。実際に難しい点でもあり、そこに取り組むために自分でコードを書いています。

 

ーーそうなんですね。その点でエンジニア出身のPdMの方とかデザイナー出身のPdMの方が増えているのかもしれませんね。やっぱり両面を行き来できる存在が一番大事なのかもしれません。


山根: 

そう思います。

 

ーーありがとうございます。続いて広野さん、お願いします。


広野

法人化した理由は、山根さんと一緒の「節税」です。消費税免除制度の活用と、あとは個人の収入を減らすことで社会保険料を削減するためですね。トータルの税金を減らそうという趣旨の書籍を読みまして、完全に感化されて法人を作りました(笑)

今後についてですが、実は僕の人生の目標は、一日中、暖かくて気分のよいところで考えごとだけをして過ごすというものです。今は自分のサービスを作りながら色々と試しているのですが、労働というラットレースから早く抜け出したいとは思っています。

 

ーー仕組みを作ってしまうということですね。広野さんは今後、人を採用していくなども検討されているんですか?

山根: 
現在蒔いている種が上手く育ったら人を採用していきたいですね。それを膨らましていくことで僕の人生の目標に近づけるのであれば、組織として大きくしていく方向もあり得ます。ただ、今はあまりそこまでは考えていません。

 

ーーありがとうございます。吉岡さん、最後にお願いできますでしょうか?


吉岡 

自分も売上と税務面については皆さんからお話いただいた通りです。やはりそのあたりが一番大きいところですね。

今後についてですが、単なる労働力提供ではなく仕組みづくりをしていく必要性を感じています。得意としているIT分野、特にAndroid領域を横展開していき、あまり技術が浸透していない領域や事業に協力していきたいです。

 

ーーより主体的に参入していきたい分野や領域はありますか?

吉岡 
クリエイター支援の分野をより強化していきたいです。例えば、最近、小さい音楽レーベルをやっていまして、そういう分野で技術を使って効率化を試みています。クリエイター支援の領域で自分が協力できるところがあれば今後もやっていきたいですね。

 

 

ウェビナー参加者からの質問に答えるQ&A


ーーパネリストの皆様、回答ありがとうございました。続いては、会場の皆様からの質問にお答えしていきます。Q&Aに関しては一つの質問に対して3人のうち1人の方にご回答いただきます。

 

――まず1つ目の質問は「自己管理のためにやっていることはなんですか?」です。


山根: 

多分、僕に来ている質問だと思うので僕が回答します。僕は混んでいるのが嫌なので、毎朝ジム開店時に行くみたいな、例えば朝7時に絶対ジムに行くと決めています。それで変な生活をしないようにしています。

 

ーー余談なんですが、山根さんとFindy CTOの佐藤がトレーニングつながりで仲良くなってるようで、引き続きよろしくお願いします(笑)

 

――続いての質問です。「最近リモート前提の仕事も多いですが、クライアントから常駐して欲しいと言われたらどうしてますか?」とのことです。こちら吉岡さんご回答いただけますでしょうか?


吉岡 

実は僕は常駐をお願いされたら、してしまいます。なんなら、自分から常駐を選んでしまいますね。やっぱり対面のほうがコミュニケーションロスが少なく済むので。学校の授業なんかは直接行ったほうが満足度の高い授業ができるので、自分で納得して対面を選んでいます。

もちろんこれが全てではありません。最近はリモートですごくやりやすい会社も増えてきましたから、それも選択肢としてアリだと思うし、自分も会社によってはリモートを選ぶようにしています。

 

ーー例えばプロジェクトのフェーズによって常駐メインもしくはリモートといったように切り替えはしていますか?

吉岡 
ありますね。具体的な名前を出していいとOKをもらっているので言ってしまうと、VOYAGE MARKETINGさんという会社のお手伝いをしていて、アプリの新規立ち上げがありました。新規の時点では、ガッツリと何曜日に何時間固定で入りましょうといった感じでコミュニケーションを取っていました。

最近は割と落ち着いてきて、メンテナンスメインになってきたので、ベストエフォートでの稼働にシフトしてます。このように同じ会社でも稼働の形態を使い分けています。

 

ーー次に、リモートの際のツールについてです。例えば議論の際にWhiteboardや、最近だとmiroなどもありますが、このあたりは広野さんはどうされていますか?


広野

言われてしまったんですけど、miroですね。miro、すごくいいです。今日は何かの回し者のようになってしまっていますが(笑)

リアルタイムに頭の中身をアウトプットして、一緒に議論をしながら整えていくのが重要だと思うのですが、その点についてmiroはクオリティが高いので、そのあたりで悩んでいる方はぜひ使ってみてください。

 

ーー続いては、現在フリーランスとして働いている方の質問です。「成長機会があまりないように感じてしまうのですが、どうされていますか?」ですが、広野さんはいかがでしょうか。フリーランスの場合だと、これまでの経験を活かして課題解決をして欲しいと言われる場合が多いと思いますが、未経験のチャレンジをどのようにされてきたなどありますか?


広野

どのように未経験のスキルセットを身につけられる案件を取りに行くか、ですね? 先程も言ったとおり、エージェントをフル活用します。実はフリーランスになって最初の案件から、技術要素を条件にするのではなくて「新しいサービスを作るところに携わりたいです。そういう仕事をお願いします」と依頼していました。そして、実際にいい感じの案件を1つ見つけてくださったという成功体験があったのが大きいですね。

それでスキルセットが広がったので、そこからは営業がスムーズでした。やはりその最初の1個を見つける戦略が大事だと思います。

 

ーー続いて、比較的今の質問に近いのですが、駆け出しのフリーランスの方向けの営業活動についてです。「フリーランスとしての第一歩はどうしたらよいですか?」についてお伺いします。山根さんはどうされていましたか。


山根: 

複数でいろんな仕事を受けると、中途半端な仕事になりがちでした。一度に受ける案件数は1、2個までと決めていてそこにフル注力して、お客さんが求めている以上のものを作ることを心がけています。

また、実績公開OKの案件を選んで、ポートフォリオとして公開しています。すると、それが次の案件の営業材料になって次の仕事に繋がっていきます。そういうスパイラルを回していくようにしています。

 

ーーやっぱり皆さんそうですが、これまでやられていたことや学びなどをしっかりとアウトプットすることが、営業活動につながっていく一番の方法なのだと思いました。

 

――最後に技術のキャッチアップだったり、フリーランスのトレンドなどについてどのように情報収集されていますか。

山根: 
僕は自分で色々サービスを持っていますが、そこに気になる技術を取り入れてみるようにしています。それで最新技術をキャッチアップしています。そしてそれを実績として公開できるようにして案件につなげています。

 

ーーありがとうございます。本日は皆さん、どうもありがとうございました。今後もイベントをシリーズ化して開催していければと思っています。次回のイベントにも是非ご参加ください。